時事ネタ

アラブの春とは?革命を理解するための3つのポイント / 「本質はSNSではない」

アラブの春とは?革命を理解するための3つのポイント / 「本質はSNSではない」

近年頻繁に見かける「アラブの春」という文字。一体何を表すのか、あなたはご存知ですか?

様々なニュースにも顔を出す用語であるため、今や時事の理解に欠かせない重要キーワードとなっています。「実はよくわかっていなかった!」という人も、ざっくり語れるようにチェックしておきましょう!

アラブの春って何?

アラブの春って何?

「アラブの春」とは、2010年からアラブ圏で起こった一連の民主化運動のこと。(アラブ圏はアフリカ北部から中東地域の一帯を指す)

革命の背景には、アラブ圏の各国で長期独裁政権が築かれており、高い失業率や物価高騰が続く中、国民の間に不満が蓄積されていたことがあります。

多くのメディアでは「民主化革命」「インターネット革命」ともてはやされていた「アラブの春」現象ですが、本質はちょっと違うようです。

 

事の発端となった「ジャスミン革命」

「アラブの春」を見る上で理解が必須となるのが、チュニジアで起こった「ジャスミン革命」です。(名前の由来は、ジャスミンが「チュニジアの国花」であることから。)

「ジャスミン革命」は、2010年から行われてきた反政府運動が拡大し、23年間続いたベン・アリー政権が崩壊した事件。政権崩壊後、チュニジア国内に新たな政権が立ち上がりました。この革命の最中起こった衝撃的な出来事は、おそらくあなたもご存知なのではないでしょうか?

衝撃的な出来事、それはチュニジア中部で26歳の青年が焼身自殺を図ったことです。この動画はFacebookやYoutubeにアップロードされ、世界を震撼させました。

事の発端となった「ジャスミン革命」

元々この青年は街中の屋台で果物を売っていましたが、チュニジア警察にわいろを渡さなかったため、商売に必要な商品を没収されてしまったのです。青年は役所に抗議したものの相手にされず、失意の中でガソリンを浴び、焼身自殺しました。

この様子はネット上で瞬く間に拡散され、翌月の政権崩壊につながったと多くのメディアで伝えられたのです。

このニュースを見た多くの人は「青年の自殺の様子がSNSで拡散され、多くの国民を立ち上がらせた」と考えたことでしょう。しかし、果たしてそれは本当でしょうか?

国民を動かしたのは本当にSNS?

確かにFacebookやTwitterで抗議デモの様子が世界中に流され、多くの人々の行動に影響を与えたことは確かです。しかし、ここで知っておかなければならない事実が3つあります。

1.青年の焼身自殺が持つ本当の意味

青年の焼身自殺が持つ本当の意味

青年の死が反政府運動のきっかけとなったことは間違いないでしょう。しかし、この自殺は「イスラム教徒」にとっては受け入れがたい事実でした。

何故ならばイスラム教では、人間の肉体がある状態で神の審判(天国へ行くか、地獄へ落ちるか)が下されると信じられているため、焼身自殺をしてしまっては神の審判を放棄したようなものなのです。つまり「イスラムの教えに対する挑戦」とも捉えられます。

自らの命を絶つのみならず、神の教えに反してでも政府に訴えたい。この思いが込められた青年の行動が、多くの国民に衝撃をもたらしたのです。

2.SNSが動かしたのは一部の人々に過ぎない

一部では「インターネット革命」と報道されたジャスミン革命ですが、チュニジア国内に関する次のような統計(2010年)があります。

  • ネット普及率:34.0%
  • facebook普及率:15.8%

事実、半数以上の国民はネットに触れていなかったのです(当時の日本のネット普及率は約80%、先進各国も70%前後)。 また、政権崩壊直前2日間のTwitterを見てみると、「ジャスミン革命」に関する情報発信のうち国内から発信されたものは20%程度。

SNSがチュニジア国民を動かしていたとは言い難いことがわかります。

実際には現政府に不満を持つ一部の富裕層や若者が、ネット上の厳しい言論統制をかいくぐり情報発信をしていました。では、多くの国民をデモ行動に駆り立てたのは何だったのでしょうか?

3.国民を動かしたのはマスメディア

「ジャスミン革命」においてデモの情報を国民に伝えていたのは、ずばり「ニュース専門放送局・アルジャジーラ」。アルジャジーラは、カタールに本社を置くテレビ局。アラブ圏の共通語である「アラビア語」で報道を行っており、チュニジア政府の力が及ばない海外に本社を置くため、政府の検閲を受けずに情報発信が行えたのです。

実際に「いつ・どこでデモ運動が行われるか」ということまで報道していたため、多くの国民が団結し、デモを起こすことができました。アルジャジーラとしても、アラブ各国の民主化が進めばより自由な報道が可能になるため、民主化運動を起こす人々との利害が一致していたということができます。

 

まとめ

「アラブの春」についてざっくりまとめると、次のようになります。

  • 「アラブの春」は、2010年からアラブ圏で起こった一連の民主化運動のこと。
  • 「ジャスミン革命」は、チュニジアで起こった民主化運動。「アラブの春」のきっかけとなり、23年間続いたベン・アリー政権を崩壊させた。
  • 「ジャスミン革命」を加速させたのは、26歳の青年がイスラムの教えを破ってまで焼身自殺を図り、命と引き換えに政府への抗議を行ったこと。
  • 多くのチュニジア国民を動かしたのは、カタールに本社を置くテレビ局・アルジャジーラの反政府デモ報道であった。

アラブ各国へ連鎖を続ける民主化運動について、引き続きニュースを注視していきたいものですね(`・ω・´)キリッ!

♪ざっくりわかったら、是非クリックを

Return Top